小説「一度、あきらめた場所」第37声
ちょっと、戦ってみる気持ちになった
戦うってのは 争うことじゃなく
ちょっと、戦ってみようと思う
もう一度、そう、
感情の振れ幅 メロディーの起伏
存在への戸惑い 何かに成れるという錯覚
今は起伏が少なく、ちょうど良い位置を見つけたのかもしれない
でも、大人しくなったね
昔にみたいに感情いっぱい、カラオケを歌うことなんて出来ないし
メロディーを失ったみたいに
現実的じゃないことばかり、考えていたのかもしれないけど
僕は、僕の街に居る
でも、昔
手にかけた
小さな、手の平から零れ落ちそうな希望
あれを守りたかった
置いてくことなんて、出来なかった
置き去りに出来なかった、いろいろ幸せ見捨てたのに
全部空回りして、今に居るけど
忘れかけた言葉ばかり
何がしたいのかも分からなくなってきても
あると思って
出てゆく言葉と 出かける言葉
さよなら、消えないで
理由も失った約束