lona-hallelujahの日記

人の成り行き “一度、あきらめた場所で”

小説「一度、あきらめた場所」第13声     「夕立となり、霧となり、雨となって」

 

また一年が始まり
長いな、と思う
何かが果たされるまで
僕は耐えているのか
すっきりとしない引き摺りが
僕を迷路に、戸惑いに
置いてゆく

 

新鮮な気持ちになりたい
一年の始まり
けれど、まだ引き摺りながら
自分の区切りがつかないまま
未練がましい年が明けた

 


あの時

僕は弱さを確認しながら
曝け出し
それを公開して
作品に調えた

いまは

僕の弱さは救われていないが
区切りがついた
明るみに出す必要性が無い
衝動は消えて
ひっそりとした何かの
消息を遺そうと
誰かに
いや、だから、でも
分からない
僕には手段だけ
目的など無い、のか
僕は自分の事をもう一度、まとめ上げたい


冬ごもりした情熱

 

離れようとしたとき
身の回りを新たな眼で視えるようになった
棄てられない物事が多く
それらを十分に終えていないこと
臆病風がそこに吹いて

だけど

外側に作る気持ちが無い
新たな隣人を増やしたいと思ってない
いや、交流する事が億劫だ
僕は現状に居場所を確認する


そして、一切を放ってゆく
その軌道ーー
僕はそれを、求めているんだ

 


舌打ちするんだね
と、人づてに言われた
するよ、僕だって
許容できない全てを
拒否と、とりあえずの受け入れに
現時点での、判定に
描いているんだよ、詩を
これが僕の舌打ち、さ

君だって


腰を落ち着けた頃
またギターの音が聴こえ
これは館内放送で
よくある事
でも耳を傾ける、ぼく

家に帰ったら、また弾きたい

 

 


ためらいの丘

 

口の中の逃げ場

 

隙間に風

 

愛し合っていた だろう
きっと きっと きっと
隠れてる 隠れてる きっと
詩は空間を作る
そこに
囲んだ
“愛している”と眼に視える文字に

 


政治に関われ
奉仕をしろ
…ということでなく
自分の営みに対して、誠実になる
ということ

生きている現実に
誠実な姿を

 

 

 ゲーテの小説の中に、言葉を見つけた

 


    “夕立となり、霧となり、雨となって”

 

 

 

夕立となり、霧となり、雨となって

また一年が始まり
長いな、と思う
何かが果たされるまで
僕は耐えているのか
すっきとしない引き摺りが
僕を迷路に、戸惑いに
置いてゆく

 

新鮮な気持ちになりたい
一年の始まり
けれど、まだ引き摺りながら
自分の区切りがつかないまま
未練がましい年が明けた

 

                

                    “2014年1月1日”