lona-hallelujahの日記

人の成り行き “一度、あきらめた場所で”

小説「一度、あきらめた場所」第10声「3日間の旅」第3夜

 

函館での時間

僕は、ほとんど出歩かず、ホテルの部屋で過ごしていた。

 

それだけ

 

だった。

 

 

函館からの帰り

高速バスでの休憩時間。トイレに向かったり、売店で手早く済ませる食べ物を求めて下りる。

僕も売店で食べ物を買い、外のベンチに腰掛けて、口に入れる。

ある若い女性が視界に入るーー

上着はGジャンで、スカート。髪はショートに近いが、ラフというよりも、何か孤独による考え方が透けて視えるーー

声を掛けてみたいと、思った。その雰囲気になにか、意気が合うものを感じて。だが、言葉…最初の発声。女性は、僕のすこし離れた前をゆっくりと、うつむきながら歩く。そこに、僕の視界を惹き付ける何かがある。何かの孤独を背負っている。どんな?

たぶん、孤立している。彼女の世界観が。たぶん、彼女は、独り。誰かと、共有することに欠けている。

若い女性は、僕と同じ高速バスに戻って行った。

 

高速バスで

君が視界に入ってきた。
僕は眼で、すこし追う。

君がバスを下りてゆく
僕は知りたいと思った。
見ず知らずの君はどんな人だったのかと
惹かれるものの正体を
小説なら、物語だったなら、これは展開するのだろうか
でも日常
いや、その可能性が含まれているということ
動かせるということ

 

 

函館からの帰り 

札幌でミニシアター系の映画を上映する“シアターキノ”という場所で、何か、映画が観たかった。


上映中のタイトルをネットで検索すると、奇遇なことに、
「函館」出身の作家“佐藤泰志”さんの映画がちょうどシアターキノで放映されていた。
知らない作家だったが、その映画と、その人の紹介文が眼を引くーー自殺した作家という、そのこと。

 

その作家の作品に、地元への愛着?から、その作家の地元(函館)を短編で描いたものがあり
僕が、意識し始めていたことーー

「地元で活きながら創作し、

 生きているそれを表現する姿勢を持つこと」
ーーローカルの、上京を断念した人が、描く表現

 

僕が、あきらめた場所があり

それは、自分に置かれた余地なのかもしれない

 

 

 

映画館は以外に、というと失礼だが

その上映作品には客足が伸びていた

思っていたよりも、ずっと多くの人が関心を持っている

佐藤泰志さんに

それとも

自殺した作家のメッセージを感じるために

本気で

というと何だが、映画から何かを感じ取ろうと

何か、自分の人生に反響するものを得ようと

そういった心構えで観るひとたちであれば…と

強く思った。

 

胸の中の想いを、覗く

 

未浄化で終わった想いについて

 

人が背負い、抱える、未浄化のまま憂鬱な想い出を

 

 

3日間が終わり 

 

僕が変えられずに終わったこと

それは、孤独について

 

3日間、孤独で居たことだった。

 

そして、未浄化な想いを消せなかったこと

 

もう、何かが、決まってしまっている ということ。