lona-hallelujahの日記

人の成り行き “一度、あきらめた場所で”

小説「一度、あきらめた場所」第31声     「終わった唄のために-他人事の世界-」

 

ー他人事の世界ー

 

 

 冬になり

 

職場では、12月「師走」を迎えた。

 

 

この時期、職場で孤独感を味わった。

 

 

 

2名の退職者が予定されていること。

 

1名は、職場の開設当初から働いていた方で、その職種のベテランでもあった。

そのひとは、ある面で疲れていた。

 

日々、職場の過酷になってゆく状況。「50代」という年齢からの肉体的な不安。

そして、会社の変わらなさ。悪い意味での変わらなさ。

「良い会社」とは、云い難い。開設から3年目という、まだ安定を欠いた状態。

若い、これからの会社…だけど、上役たちの駄目さ加減。色んな提案や改善を試みた先輩たちは「会社の未来に明るい展望は望めない」辞めて行くときの主な理由。

 

退職予定の先輩は、定年までは続ける予定だった。

だけど、気持ちの糸は切れた。

頼りになる人だった。「ベテランの経験者」だけではなく、「はっきりとものが言える」秩序の面で、精神的な柱だった。

ある時は、女同士の…いざこざの仲裁。ある時は、駄目な上役の考え方に対して、直接の訴え。

ある人には、「厳しいひと」に思われた。だけど、言いたくても言えない事を

「代弁してくれる」その力に、僕は頼っていた。

…もちろん、その人に、すこし良くない面もあったけど。

 

そして、2名目の退職予定者は、

「あの娘」だった。

 

知っていた

いや、人の会話のなかで、耳に挟んでいた

だから、直接聞いたわけじゃない。

 

退職予定1名目のベテランさんからは、事前に「辞めるかもしれない」と、その可能性を直接に話してくれていた。

だけど、2名目の「あの娘」

 

許せなかった

 

 

職場の、別の部署では辞めることを言っていた

でも、自分の部署の中では、それを話さず、隠し。

部署の中で、いじめとか、そんなことはなかった。むしろ、良好な関係が出来ていた。僕を含めた(?)同僚たちからは、かわいがられていたし、その娘の役割も出来ていた。居場所があった。

その娘は、専門学校に通うらしい。

 

耳に挟んだ話しでは、あと何ヶ月かでの…退職。

 

 

恨みたくなる

 

というのも

人それぞれ 勝手な理由を抱えて 生きているから


その理由が 仕方なく 思えるから

 

誰に 誰を 誰かを 恨みたくなる


僕の 身勝手さ 恨みたくなる 自分を

 

というのも

生きづらく 消化できずに抱えて 生きているから

その理由が 分からなくなってきているから

理由を また 造ってゆくから

 

裏切らない 何かが そんなに 必要なのか?

 

 

忙しくなってゆく職場の現状を知りながら、辞めてゆく

 

 

そして、なんだか最近…他の同僚は、業務を雑にやっている

 

その人たちの雑な部分を拾う、僕の状態…

 

あほ クサく なったよ
あん たら と いっしょに
働かなきゃ ならんの

なんで あんたら 
手伝わな いかんの
孤立 したんだか

なんか あほ クサくなった
あんたらと いっしょに
働かなきゃ ならんの

なんか とても かなしい

他人のこと なんて
誰も 深入りしないさ
趣味や 考え方 大切にしていること 想い出
分かってくれる ひとなんて
いないんだ

たぶん、とても かなしくて
むかし ぼくは あの本 作ったのかも
たぶん、とても つらくて
むかし ぼくは あの本、作ったのかも

あれは この会社 入るまえ じぶんの 『居場所』が 無いとき

 

たぶん とても 寂しくて

あの本 居場所を 作りたくて

たぶん とても 寂しくて

あの本 ぼくは 作ったのかも

いつまで 分かってくれる人 なんて

求めているんだろう


もう、僕も 他人事の 世界に 安住するべき

 

あきらめろ

 

    他人を

 

 

 

他人事の世界

 

 

みんな好きなように 自分の生き方を選ぶ

 

それは 良い事

        良いこと? なんだろうか

 

 

責任とか そんな重たいこと

そうじゃなくて 『居場所』

 

『居場所』があること

 

そこに自分が居て、「活きていること」を どう思っていたんだろうか?

 

 

辞めてゆくひとたち

 

 

でも、僕もフリーターだった頃、そうだった

辞めてゆくひとだった

 

 

 

 

受け容れられたこと

 

そこで「他人ではなくなった、ぼく」

 

 

辞めてゆくひとは、「他人だ」

 

 

「他人」になるんだ

 

 

 

他人事をつくってゆく 他人事の世界がある