小説「一度、あきらめた場所」第17声 「春の凱旋」-routine 3-
手元まで あった 君の笑顔
手元まで 見えた 君の面影
春になって、還ってきたよ
春の凱旋
たんぽぽの綿毛に乗って
空の比翼に
記憶の綿毛が絡まり
言葉の陽炎を映す
部分的に 僕らの 繫がりが 薄れてく
気持ちの切れ端 掴んだら
孤独だった
-routine 3-
手元まで あった 君の笑顔
手元まで 見えた 君の面影
春になって、還ってきたよ
春の気まぐれに やられ
つむじ風が 後押し
空にならんだ 比翼に
記憶の綿毛が 渦を巻いて
言葉の陽炎が 君を映す
部分的な 繋がりが ぼくらを 薄くする
気持ちの切れ端 掴んだら
孤独に気づく
手元の時計は 進んでいる
あの頃の ぼくらが
春になったら、吹いてくる